必ず書店で確認を
★★★☆☆
論語・韓非子を題材にするという視点はよかった。そして、その意味は受験生が読み物として古典を読むのは良いことであるという意味でである。だが、「入試漢文」というタイトルをつけるのは適切なのだろうか、という疑問がどうしても残る。その理由は、問題集としては問題になっている分量が少ないという客観的材料がどうしても目に飛び込んできてしまうからだ。特に、この本はとてもきれいな装丁で美しい。それ故に、今後この本の購入を考えるかもしれない受験生には、「読書をするという意味では、文科省の指導要領の範囲内である本書は役に立ちますよ。」と申し添えたい。ただし、この本には出版社にどうしても考えていただきたい点が一つだけある。それは、「入試漢文」というタイトルである。私は、大学受験指導を20年に渡りやってきた者だが、このタイトルでは受験生を「この本を購入して問題演習したい」と惑わせる可能性があるという点だ。客観的に数値を上げさせていただく。全部で231ページの本書中、入試を想定した問題数は、192―201ページの6題の10ページ分である。しかもレベルは教科書ガイドのレベルである。「入試漢文」という冠を付けているのに、説明が詳細な他の多くの部分に何故問題を付けてくださらなかったのか、本当に残念であった。受験生は、必ず書店で手にとってその上で購入を考えていただきたい。