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サイボーグ009 (21) (秋田文庫)

価格: ¥590
カテゴリ: 文庫
ブランド: 秋田書店
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これぞ石ノ森ワールド。 ★★★★★
この本には以下が納められています。

「神々との闘い編」
「サイボーグ戦士 誰がために闘う編」
「パッシング・ショット編」

「神々の闘い編」はこれぞ、石ノ森ワールドともいえるSF大作です。地球と人類の歴史に挑戦した知的でスリリングなSF大作をサイボーグ009に持ってきたところが石ノ森氏のセンスなんでしょう。
雑誌COMに連載されたもので、セリフを廃し、絵で語る、JUNに似た感じです。
COMは、作家にとっては描きやすい雑誌だったのかなと思います。
石ノ森章太郎氏の凄まじいばかりの知的想像力に圧倒される思いです。
本当に凄い。

「サイボーグ戦士 誰がために闘う編」
「パッシング・ショット編」
は短編で、前者は、サイボーグという運命を背負わされた者たちの葛藤を鮮やかに描き出しています。後者は珍しく003のエピソードで、自信を失ったテニス・プレイヤーの物語です。

一歩先を行くような、作品集です。
神々との闘い編 ★★★★☆
第21巻は『神々との闘い編』『サイボーグ戦士・誰が為に闘う編』『パッシング・ショット編』の3作を収録。

未完の大作『神々との闘い編』のプロットは、アーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』あたりを思わせるものです。地球の進化は高等な宇宙人によって操られたもので、彼らの存在が太古の人間から受け継がれる中で“神”と呼ばれるようになったというものです。但し、ここに出てくる神=宇宙人には邪悪な面もあり、自分達が進化に関与しているという秘密に近づいた者は殺してしまうのです。009達が偶然この秘密に近づいてしまい、神=宇宙人との全面対決が避けられなくなったところで残念ながら連載は中絶しています。

宇宙人との戦いというのはSFマンガとしては決して突飛なものではありませんが、ここでは彼らを“神”として位置づけている為か、哲学的で重々しいムードに満ちあふれています。

この作品は元々『天使編』(本文庫では23巻に収録)として書き始められたものの中絶してしまい、構想を新たにして再度書かれたものですが、『天使編』と同じ運命を辿ってしまいました。晩年の石ノ森氏は完結編のプロットを書き始めており、その一部がテレビ東京のアニメで放映されましたが、作者の死によって永遠に完結しないこととなってしまいました。