ゴールデン・ストライカー(CCCD)
価格: ¥2,800
ピアノとギターを加えたロン・カーターのドラムレス・トリオといえば、1994年にケニー・バロン&ハーブ・エリスを加えて録音した『ジャズ、マイ・ロマンス』が有名。本作はそのフォーマットを踏襲したもので、マルグリュー・ミラーとラッセル・マローンを起用しての2002年録音。メンバーが若返ったこともあり、演奏はよりフレッシュだ。タイトル曲はMJQの演奏で知られるジョン・ルイスの代表曲。ほかにおなじみの曲もやっているが、9曲中6曲はオリジナル(ロン4曲、ミラーとマローン各1曲)。編成が編成だけに、そのサウンドはどちらかというと室内楽的。静かなたたずまいのなか、3者が一体となって妖しくからみ合う瞬間が最高にスリリングだ。ロンは全体のバランスを気にするアーティストなので、こういう編成でも自身のベース・ソロを全面的にフィーチャーするのではなく、3者のコラボレーションを重視している。ロン特有の絶妙なベース・ランニングにも魅了される。ずばり、気品漂うエレガントなトリオ作品だ。(市川正二)