Culture Club
価格: ¥8,296
物心がついてから70年代を過ごした人なら、素晴らしい文化が別の文化に容赦なく取って代わられていく中で、いろいろと珍奇なものを目撃する機会があったことと思う。それにしても、イギリスのカメレオン・ミュージシャンたちがソウルっぽい音楽をやるバンド、しかもフロントがセクシーで伝説的なドラッグ・クイーンだなんて! デイヴィッド・ボウイの例は別格として、これはもう、まったく新しい10年が始まったと考えるしかなかった。皮肉な話だが、カルチャー・クラブがアメリカで成功を収めたのはほんの短い期間だったのに(それでも半ダースのトップ10シングルを残している)、結局彼らは80年代の産んだ最も忘れがたいシンボルのひとつとなった。それに貢献したのが、ボーイ・ジョージのとんでもない奇人ぶりと、あの魔法の3文字――MTVだ。さて、この4枚組アンソロジーだが、ボーイ・ジョージという、人を惑わすわがままなシンガーと、彼のフェティシズムの対象(となった音楽とそれ以外のもの)にふさわしくないものは皆無だ。デモ音源、若干の荒削りなアウトテイク、お約束の何種類ものリミックス(リッチー・“ドラムヘッド”・スティーヴンスによる2002年ヴァージョンのフル・ディスクもある)と盛りだくさん。さらに、カラフルに装丁された、ドラッグ・クイーン・テイスト満載のスクラップブックにライナー・ノーツを掲載している。また、ジョージの奇行やマスカラをぬぐい去れば、音楽ファンの無垢な魂が――同時に、レコード・コレクター/クラブDJの鋭いセンスがカルチャー・クラブの音楽の中心を占めていることをこのセットは教えてくれる。初体験者は、中毒になるかもしれないが、まず退屈はしない。カルチャー・クラブの信奉者は、これこそ新たに解釈されたゴスペルだと気づくはずだ。(Jerry McCulley, Amazon.com)