エンジェルス・イン・アメリカ [DVD]
価格: ¥6,258
ピュリツァー賞やトニー賞を受賞した、トニー・クシュナーによる1990年代の代表的な戯曲を、全6話のミニ・シリーズとしてTVドラマ化したのが本作(2003年制作)。「卒業」などで知られるベテラン監督マイク・ニコルズのもと、アル・パチーノ、メリル・ストリープ、エマ・トンプソンといった実力派の俳優たちが競演した。
舞台は1980年代のニューヨーク。エイズ(後天性免疫不全症候群)の発病に動揺するゲイの青年とパートナー、その友人、ゲイであることを決して自分で認めない議員、隠れゲイの男とその母親やその妻といった人々が、それぞれの苦しみをきっかけにリンクしていく。登場人物の多くはゲイだが、決して“ゲイのためのストーリー”ではなく、愛について、宗教について、性について、そして生についてといったテーマを観客それぞれの人生に照らして考えさせる奥深いドラマに仕上がっている。
一人の役者が複数の役を演じる、舞台的な趣向を取り入れているのも見どころで、特にストリープはその変化ぶりで大いに楽しませてくれる。オリジナルの持つ純度を落とすことなく映像化に成功した、間違いなく傑作と呼べる作品。(安川正吾)