がんについて知りたいと思っている人にお勧めの本です。
★★★★☆
私は、柳原和子氏の『がん患者学』(中公文庫)全3冊を購入し一回通読した者です。
読んでみて、いかに私が「健康」というものの有難さを分かっていないか思い知らされました。今というこの瞬間、瞬間を生き切っているかと問われたら私は何も答えられないでしょう。毎日を無駄に過ごしている、本気で人生を謳歌していない、健康を当たり前のことだと思っている・・・。何て甘えて自堕落な生き方をしてきたのだろうと反省させられます。
この本はがんに何らかの形で関わりを持つようになった当事者と家族はもちろんのこと、まだ、がんとは関わりのないごく普通の一般人にも読まれるべきものだと思います。いい本です。
このレビューを見て買おうか止めようか考えているそこの貴方。勝手損はしません。もしかすると、目から鱗が落ちる体験をすることができるかもしれません。『がん患者学』全3冊の同時購入をお勧めします。
抗がん剤を相当貶めているようですが
★★★☆☆
●いろいろな治癒パターンがあります。放任・積極介入その中間、まあこれだけははっきりしいます。抗がん剤はかなりやばい。ただし著者はある情報を隠匿した上で抗がん剤を糾弾しています。日本には抗がん剤専門医が数十人しかいない。消火器外科医や糖尿病専門医が数千以上いる中か抗がん剤専門医はたったの数十人。なぜこれを告発しないのでしょうか。それは先に答えが見えているから。抗がん剤にレッテルを貼りたい意図があるからです。あの激しい副作用を考慮すれば著者の気持ちもわかりますが専門医がこれだけ少数しかいない以上この本で紹介されている方や著者の知人もほとんど素人が処方し投与したとしか考えられないんですが。確率的に数十人しかいない抗がん剤専門医の誰かが担当したとは考えられません。抗がん剤の危険性を訴えると同時に抗がん剤専門医が供給過小ということも告発しなければどう考えてもフェアじゃないでしょう。これだけ危険な薬を白衣を着ているだけのはったり素人が扱っている恐怖。
●あと非常に危うい医師が多いですね。これだけ素人くさい人が闊歩しているのは全く淘汰されないんでしょうね。ほかの業界と比べてもかなりセミプロ率が高いような気がするんですけど。高い水準を求めているのではなくてごく平均的・標準的な処置処方ができない。50点〜60点台のスコアを求めているのにそれすら満足にできないひとが大勢いる。誰でもなれる職業でもないのに誰でもなれる職業よりも個々人のばらつきがでかい業界って怪奇以外のなにものでもないです。これだけばらつきが多い以上カルテとレセプトは患者本人の意思があれば原則持ち出し可でいいでしょう。
●あとこれは病気になる前に読む本です。なった後では遅すぎます。この本の内容では迷います。疑心暗鬼になります。なったとしても受け入れて勉強して相当落ち着いてから読むべきであると思います。
『患者による患者学のはじまり』宣言!
★★★★★
ちょうど、私が同病者として、労働現場に戻りつつあるときに、晶文社から分厚い原本が出版された。「患者による患者学のはじまり」に足場を作ろうとしている著者の勇気に感動した。
私の読み方は、同病者としては次のようになる。
第3部の「再生-私とがん」には特に注目した。私も同病であり、あの時代に迷える子羊としてさまよっていたからである。
この著者に関心をもつのは当然のことであった。この人の母が卵巣癌と診断され闘病生活の末亡くなったこと。更に、幼いときより母のいとこで「癌には個性がある」と主張していた医学者佐藤博氏の影響を受けていたこと。私は、彼女がノンフイクションライターという立場から、あらためて「がん」なるものを明らかにしようという姿に感動した。
早期発見・早期治療はベストという既成の価値観は、近藤誠氏の『がんもどき理論』により突き崩されていた。良心的な医師も動揺していた。
さらに、ホスピスの登場。在宅で死を迎えたいという希望。それにつきあってもいいという医師たちの登場。
帯津良一氏を頂点とする代替医療の大流行。このような状況の中でこの書物は誕生した。
●がん患者は医師たちにわが身をゆだねるのではなく、自らの病を癒す方法を選択しなければならなくなった。
がん患者として闘病しつづけている柳原和子は「長期生存をとげた患者に学ぶ」(原本の副題)という視点から自己の仕事を再開した。長期生存している患者はいるのだ。今、あらゆるところで「がん告知」をされ絶望している大勢の人たちに希望をあたえる書である。いや、彼女の生き方そのものが、人とがんの関係を新しく見直してくれるのかもしれない。
がんのとらえ方も変わった。がんは我が身体にある細胞の遺伝子が何らかの原因で傷つき細胞増殖を止めることができなくなった自然な現象に過ぎない。
それでを、私たちはがんを病と言い、どこかでおりあいをつけれたらと願っている。原因究明は進めどもそれは治療とはつながらないことは抑えておいた方がいい。
勇気づけられる本
★★★★☆
ガンの治療法としての三大療法しか知らない人にとって本書は「その他の療法」の紹介的意味が大きいです。目から鱗と言うほどではありませんがこの本を読んで勇気づけられることは多々あります。著者本人が罹患している状態での取材が元なので大変だったろうなと思うと同時に切実感があります。体系だったガン治療法の紹介本ではなくあくまでも実際の症例の紹介ばかりなのですが、勇気づけられる人は多いでしょう。
ノンフィクションの真骨頂
★★★★★
この本は、代替医療や民間療法を実践した人だけの記録ではない。
「なぜ癌になってしまったのだろう?」
「再発を防ぐためにどうしたらいいのだろう?」
この問い対する答えは、患者一人ひとり皆それぞれに違うことを教えてくれる。
まるで短編小説のような筆致で綴られたルポは、とても読みやすく興味深い。
それぞれの人がそれぞれのスタンスで自らの病、癌と向き合う姿を真正面から捉えた、ノンフィクションの真骨頂ともいえる貴重な本だと思う。