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百万回の永訣―がん再発日記 (中公文庫)

価格: ¥900
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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柳原和子さん 人間讃歌の贈り物ありがとう。 ★★★★★
 柳原和子さんが2008年3月2日、57歳で亡くなったという事実を知った時、やはり愕然としました。
 2000年、晶文社から『がん患者学』が出版されました。
 胃がんで胃全摘手術をうけ、生き物としての敗北感と社会が自己をどう位置づけるか、当時の私は不安でした。
 私はがんと出会った事態に、冷静に自己を位置づけようとしていたのです。
 『がん患者学』は、患者が知りたいことが全部載っていたのです。
 泣き言はありません。千葉敦子さんのようなアメリカ医療讃美もありません。
 著者の姿勢はきわめて冷静でした。
 それは副題が「長期生存をとげた患者に学ぶ」としていることであきらかです。
 「がん患者は死ぬ。どのように死ぬかは不明なれど」
 この厳然たる事実から逃げることはできない。
 「自分も再発し死ぬであろう。」
 この諦念が根底にあったようにおもいます。
 柳原和子さんに連絡をとりたいと思い、出版社に連絡。柳原さんと電話で話をすることができました。
 相手の不安を軽くするために生きているような人でした。

 その後の著者の活動はすさましかった。
 多くの人に会い納得するまで問う。私たちの代表。
 テレビで出演している姿を見て疲れすぎている・無理しすぎているとハラハラ。
 そして『がん生還者たち』(中央公論新社)ができました。
 さらに、『私のがん養生ごはん』(主婦と生活社)。
 最後に「中央公論」で『残照』として連載された この『百万回の永訣』です。

 同病者への応援歌でした。いや、人間讃歌です。
 がん患者として すべてをひきうけ冷静に書かれた書物です。
 現在の医療体制に 怒りをぶつけ 医療側に与えた影響はすごかった。
 柳原和子さん、本当にありがとうございました。命がけで、あなたはがんと出会ってしまった人間、それに関わる者たちに がん患者として あなたの生き様を見せてくれたのです。さあ、私も頑張らないといけない。
日本の医療への希望がここにはある ★★★★★
 この本を読んで驚いたことは、がんの再発、転移における日本の医療が変わってきているということだ。かつては、「もう治療法がありません」といわれるのが、関の山。抗がん剤などの治療が効かなくても、それはがんのせいだというのが、当たり前。そこには絶望しかなく、夢も希望もない世界だった。
 でも、実は違った。著者は、過酷な状況にありながら、さまざまな医師、治療法を訪ね歩く。そこで明らかにされるのは、再発、転移の過酷ながんには、標準治療やガイドラインを超えた、個別性を尊重する医療によって、突破口が見出されるということだ。
 しかし、現実問題、ここにたどり着くまでの著者の苦労は並大抵ではない。NHKで放映された同名の番組も見たのだが、ここまでやらないと、ここまで声を上げないと、納得のできる医療にはたどり着けない現実があるのか、、という落胆もあった。
 各科、治療法など、専門分野それぞれが秀でていても、それを俯瞰して見ることができるのは、実は患者でしかないという現実。再発、転移などの多臓器にわたった場合の、治療法の選択は、混迷を極める。
 私が著者を評価したいのは、全身に回ったと考える再発・転移がんの治療において、丁寧な局所治療を積み重ねることが、有効であるということを示すことができたこと。このような発想にたどり着くまでの経過が一番、興味深かった。
末期患者が求めてやまぬもの ★★★★★
身近な者ががんと闘っていたり、がんで喪ったりした人には是非読んでほしいと思いました。いくら身近にいても現在がんと闘っている人の心情とはこういうものなのかと深く深く考えさせられます。筆者は末期がんで余命数ヶ月と宣告されます。様々な医師が(それも相応に優秀で誠実な医師たち)様々に違う治療法を提示します。医療に信頼を置けきれぬ筆者は、代替療法にも手を染めます。そのうちに患者としての説明不能な病状感知に目覚め、自分が求めていたものは何かに気づいていきます。筆者に具体的に関わった医師たちのなんと誠実なことか。しかし筆者とそれら医師たちの間に存在する微妙な、しかし決定的ともいえるズレ。これは末期がん患者の魂の彷徨の記録です。最後に行き着いたところ、それは治せる医者のいる治せる病院だったのかもしれません。しかし、もっともっと大切なものが確かに存在したというかけがえの無いものを筆者は見つけます。U2の『I still haven`t found what I am looking for』という曲が脳裡をめぐる、そんなドキュメントでした。ひとによって批判的な見方をするかもしれませんが、軽々に批評できるような本ではありません。ただ読めば分かると思います。
珠玉の言葉が胸を打つ ★★★★★
NHKがんサポートキャンペーンに柳原さんが出演されているのを見て、この本を手に取った。「がん再発、早ければあと半年」と医師から告げられたら…。死を見据えながら生きることの意味を問う本書には、深く考えさせられた。死への恐怖、医師によって違う治療法が提示されて彷徨う日々、過酷な副作用、潔い死を迫る周囲の人々…。著者は自らを取材対象として、冷静に言葉を紡いでゆく。3人に1人ががんで死ぬ時代を生き抜くための、貴重なノンフィクションだと思う。