目からうろこ
★★★★★
主に中国の視点から描かれた日清戦争である。日清戦争そのものより、日清戦争の背景、当時の中国、朝鮮の現状を克明に描いている。
日清戦争が始まるのは、なんと下巻の、しかも、少し記述が進んでからである。
だから、”小説日清戦争”というより、”日清戦争とその時代”とした方が良かったのではないのかと思うぐらいだ。
しかし、叙述は精緻で克明で、しかも魅力的である。
日本のこの時代を描いた本には、司馬さんの「坂の上の雲」があるが、この本は日露戦争がメインで、日清戦争については駆け足ですませている。
日本人は、日清戦争については意外に知らないのではないか。
改めて、そのことに気づかされた本である。
こういうことだったのか・・・と「目からうろこ」の記述が実に多い。
この時代に興味を持っている人には、必読の一冊ではないだろうか。