1989年の『Rhythm Nation 1814』では、社会評論家気取りで聴く者を困惑させたジャネットだが、今回は自分の得意とする領域に戻ってきた。少女っぽさと大人の味が奇妙に入り混じった彼女の個性は、ダンス・ナンバーを身近で切実な人間関係の歌に変える。しかしそれでもなお、全27トラック、75分間におよぶ本作は、アルバムとしてうまく機能していない。水増し用のトラックが多すぎるし、曲の変わり目の小細工にもすぐに飽きがくる。しかし、キラー・シングル満載のアルバムであることは間違いない。とんでもなくセクシーな「That's the Way Love Goes」、ロック的なギターに導かれた「If」といった問答無用のチューンの他、プリンスを思わせる「This Time」、モータウン調の「Because of Love」、ため息まじりのバラード「Where Are You Now」、スタックスの見事なカバー「What'll I Do」など、将来のヒット・ナンバーがそろっている。(Geoffrey Himes, Amazon.com)