Final Straw
価格: ¥823
ゲイリー・ライトボディの声の温かな哀愁が、スノウ・パトロールの『Final Straw』(邦題『ファイナル・ストロー』)での万能の楽器となって、明るい賛歌的ロックとベル・アンド・セバスチャンやマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのような多種多様な要素とのバランスを巧妙にとっている。去る側去られる側両方の別れの痛みの表現にプロデューサーのギャレット・リーが使ったのが彼の声で、出発点として、あるいはギターのぜい肉を落とすために、エレクトリックなノイズの代わりに、また様々な要素をもった楽器として、ライトボディのため息まじりの声のムーディーな深みが働いている。バンドはテクスチャーを大胆に変えてプレイする。「Gleaming Auction」(邦題「グリーミング・オークション」)ではリラックスしたシャッフルから突如シューゲイジングなクランチに方向転換し、「Tiny Little Fractures」(邦題「タイニー・リトル・フラクチャーズ」)では、厚いファズサウンドがT.レックスの亡霊を呼び覚ます。だが、T.レックスの『電気の武者』(原題『Electric Warrior』)やチープ・トリックの『天国の罠』(原題『Heaven Tonight』)とランダムにシャッフルしてみようとすれば、「Same」(邦題「セイム」)のような牧歌的なバラードはあきらめることになるだろう。そこをどうやってか、くり返し聴くに値する歌と何日も耳に残る心地よい曲で美しくまとめている。(Matthew Cooke, Amazon.com)