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イン・ザ・プール

価格: ¥1,300
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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固定観念 ★★★★★
人は固定観念で人生をきめている。
こうに違いない、普通こうでしょ、
みんなこうだし、

そんな気持ちと相撲をとって生きていると言える。

イン・ザ・プールは奥田作品の中で
初めて読んだ作品でした。
その後、町長選挙、空中ブランコと読み進めています。

固定観念 対 伊良部の無邪気

さて、現代人は本当に賢く生きているのでしょうか?

なんだか自分がヘン?たまにそんな自分に出会うことがあれば、
是非読んでください。

良質な落語を聞いた後のような
そんな爽快感のあるシリーズです。
うまい! ★★★★★
名匠・奥田英朗の傑作。星6つ差し上げたい出来映え。
「最悪」「邪魔」で追求した奥田ワールドが熟成され、円熟の境地に達している。大きな事件や起伏なしに読ませるのは卓抜した技量の表れといえる。
まず主人公・伊良部ドクターの造形の鮮やかさが素晴らしい。5話構成の中でそれぞれ癖のある患者達が伊良部病棟を訪れるが、それを受けた伊良部ドクターが、まるで水を得た魚のように生き生きと動き出し、個性的な患者達を完全に食ってしまう。
それでいて物語は破綻せず、社会倫理も一線を踏み越えることなく、巧みにまとめ上げている。
キャラがシチュエーションに応じて勝手に動き出すのは小説冥利につきることで、直木賞ノミネートも当然と思わせる。アマよりプロ好みする作品といえる。

もう一つ、奥田英朗は自分と性別・年代の異なる人物を視点者に据えることが異常にうまい。これは卓抜した技量なしにはできない。なぜなら中年男性が女性あるいは今時の若者目線で心理描写することは難しいからだが、奥田英朗はこれをいとも簡単にやってのける。
本作の第3話・第4話(コンパニオン・フレンズ)がこれにあたる。この作者の技術を堪能されたい。
登場人物がみなとても魅力的 ★★★★★
伊良部をはじめ、力の抜けたひとくせある登場人物たちの魅力で
一気に読み進みました。
ちょうどいい軽さと毒のあるタッチ、エピソードのおもしろさ。
この作品を映像で見たいと思わされます。
続編もあるようなので、さっそく注文したいと思いました。
何ですか、この強烈キャラ ★★★★★
プール依存症、ケイタイ中毒、妄想癖、陰茎強直症・・・、世の中みんな病んでいます。ちなみに私は自転車依存症一歩手前。やっぱりプール依存症やランニング依存症と同じようにエンドルフィンが脳内に分泌されているのか。そんな病める人がどうして良いか解らなくなって駈け込んでしまったのが伊良部総合病院地下の神経科。
何ですか、この強烈キャラ。同じく医療もの海堂尊氏の小説『田口・白鳥シリーズ』の白鳥圭輔に勝るとも劣らない爆笑?キャラです。読者は素直にこのキャラを好きと言えないと思います。いや、むしろ嫌いなキャラと言ってもいいでしょう。しかしこのキャラから目が離せない。読み進め、見たくないのに目が離せず見続けているうちにだんだん慣れてきて、そのうち伊良部の登場を心待ちにしている自分に気づく。ひょっとして伊良部一郎のことが好きになってしまったのか? いやそんなことがあって良いはずがない。私の良心がこんな医者を、こんな人間を認めてはならないと言っている。にもかかわらず一気に読んでしまった。そして続編を早く読みたいと思っている自分に気づき愕然としています。
ちなみに奥田英朗氏の『イン・ザ・プール』が発売されたのが2002年5月、海堂尊氏の『チーム・バチスタの栄光』が発売されたのが2006年1月ということは、白鳥圭輔よりも伊良部一郎のほうが早くデビューしたようです。ということは社会性に問題ありの非常識キャラの元祖は伊良部一郎ということになる。知りませんでした。

〈追記〉
本の装丁ですが、写真:鈴木英司、装丁:石崎健太郎となっている。非常に印象に残る装丁です。何というか目が離せない違和感。このプール中に浮遊している赤ちゃんはなんとなくロン・ミュエックの《ガール》を思い起こさせるのです。私は2008年8月23日に金沢21世紀美術館で観たのですがその時の強烈な印象、なんとなく落ち着かない違和感を思い出しました。

ギリギリ ★★☆☆☆
プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…といった様々な症状を抱えた人々が或る変わった神経科に通院する。
人はそれぞれ重度のさはあれ、悩みを抱えて生きています。こんな医者にかかれば、見方も一変するのかもしれません…。


「心身症なんてのは神の采配なんだから、自分じゃ抗わないこと。『あるがままに』がいちばんなんだから」