エレクトロポップ界の伊達男ペット・ショップ・ボーイズやフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドを手がけたホーンによるバックサウンドは明快でわかりやすく、疾走するシンセサイザーをクッションに、レーナ・カティーナとユーリャ・ヴォルコヴァの軽快なボーカルを乗せている。ウィンクで人を誘うような歌詞は、女の子が女の子を好きになることをはっきりと歌っているが、ふたりは元気一杯というよりはにかんでいる。はつらつとしたコーラスが飛び交う「All the Things She Said」は性の平等を主張しているようだ。また、通常ヴァージョンとロングヴァージョンが収録された「Show Me Love」はクラブ受けを狙った重厚なダンスフロア・ナンバーである。
けれども、本作で最高のナンバーと言えば、ザ・スミスの「How Soon Is Now」の思いがけない皮肉なカヴァーだ。孤独と絶望を歌ったナンバーを陽気なデュエットに完全に作り変えたこのカヴァーは、どう考えても本作で最も画期的なナンバーと言えるかもしれない。(Kim Hughes, Amazon.com)