グループ内の細やかで遠慮のない雰囲気を大切にしながら、3人はお互いの関わり合いを明らかに楽しんでいる。彼らの歌声は美しく溶け合い、そこにひとにぎりのゲスト・ミュージシャンたちが必要最小限のピアノとギターを添える。本作の趣旨を堂々と宣言するかのような「Carnavalia」から、聴く者の胸をおどらせる元気いっぱいの「Passe Em Casa」、安らかなオーラに包まれたクリスマス・ソング「Mary Cristo」まで、ここにあふれているムードは、攻撃性もあらわなおおかたのコンテンポラリー・ミュージックに対する解毒剤と言えるものだ。
本作『Tribalistas』は、単に今年最高のブラジル音楽のアルバムというだけではない。早くも名盤との評価が出ておかしくない作品であり、希望と喜びを伝える音楽的メッセージであり、最初から最後まで楽しく聴ける1枚なのだ。(Ernesto Lechner, Amazon.com)