マルチ・プラチナアルバムとなりグラミー賞も受賞した『Nellyville』に続くネリーのアルバムは、ハンバーガー・ヘルパー――おいしくもなく栄養もないが単品で腹一杯になる料理――と変わらないラップと思っていい。ようするに、このセントルイス出身のラッパーにスタジオで新曲をレコーディングしているあいだもスポットライトを浴びせつづけようと企画されているみたいなのだ。誤解されそうなサブタイトル「The Reinvention」（焼き直し）のおかげで、どの曲も正真証明のリミックス曲だと拡大解釈されてしまうかもしれない。たしかに本作のリリックがオリジナル・ヴァージョンとうりふたつなのは事実だが、こんなにも過剰なアルバムになった責任の一端はプロデューサー陣も負わなければならない。なかでも、ジャーメイン・デュプリのプロデュースした「Dilemma」のリミックスと、デヴィッド・バナーによる「Air Force Ones」のグランジロック・ヴァージョンといったトラックにはがっかりさせられる。未発表曲3曲のうち、ずば抜けて出来の良い「Kings Highway」では楽しいひとときも味あわせてくれるが、味気ない焼き直しのトラックの多くには、熱狂的なファンしか満足しないだろう。（Rebecca Levine, Amazon.com）