大ヒット『黒いジャガー』シリーズ第3作。冒頭で、現代の奴隷貿易を根絶するためアフリカへの潜入調査を依頼されたシャフトが、自分はジェームズ・ボンドではなくサム・スペードにすぎないと語るシーンが、この映画の内容をほのめかしている。しかしジェームズ・ボンドがジョン・シャフトのモデルになっているのは確かで、シャフトはエチオピア人のふりをして奴隷貿易のビジネスの現場に潜入し、組織を全滅させる。シャフトと対決する敵はひとり残らずシャフトの正体を知っているらしく、彼を殺したがっている。だがシャフトが次々と倒して二つの大陸に残していく敵の死体は、みんなの人気者、かっこいい私立探偵の行く手をさえぎれる者などいないことを示している。
   スターリング・シリファントの脚本はアクションシーンに長い時間を割いており、前作『黒いジャガー/シャフト旋風』以上の活気に満ちている。中国人やメキシコ人を密入国させる違法な業者がいる昨今の現状を考えると、本作品の筋書きはありそうもないとっぴな話ではない。例によってシャフト役のラウンドツリーは冷静そのものに見えるが、だからといって彼を怒らせてはならないのだ。（Marshall Fine, Amazon.com）