私は将棋バトル漫画『ハチワンダーバー』をこよなく愛すにわか将棋指し
です。その漫画で将棋監修をされておられたのが、本書の著者・鈴木大介
八段で、恥ずかしながらそれで初めて知りました。そんなところから鈴木
八段の棋書を読んでみたいと思うようになり、そのなかでも中飛車編の本書
を選んだ。内容は先手と後手、さらにそのなかで2手目・初手によっていく
つかに分けられ、解説が進められています。
本書を読むまで、見よう見まねで中飛車を指していましたが、自陣のバラ
ンスがうまくとれずにコロリとやられてばかりでした。本書のおかげで少し
感覚がつかめてきたように思います。とくに、7七桂の形から5筋の飛車をひ
ねって8五飛とするところ、ここが自分の攻めと受けのバリエーションを
増やしてくれて、また大駒の効きが生かされてためになりました。

先手番のときの解説は、とにかく好形をきづいてどんどん仕掛けてゆくといった感じです。さらに先手中飛車に対して相手が飛車を三間に振ってきたときの対応の仕方も書かれている。 後手番のときの解説はかなり詳しく書いてあり感動した。全体的に細かく詳しく書かれている。著者の書いた角交換振り飛車の基礎編と応用編と併用するとより良いと思う。

前半では、高い攻撃力を誇る先手中飛車を取り上げている。
狙い筋が単純明快で、するすると頭の中に入っていった。解説も非常にわかりやすい。
読んでいて、非常に中飛車の楽しさを感じた。
また、三間飛車との戦いも載っている。これを読めば、一通り先手中飛車が指せるように
なるだろう。ただ、できれば相中飛車の戦いも取り上げて欲しかった。

後半ではゴキゲン中飛車について書かれているが、これは先手中飛車よりもさらさらっ、
と触れる程度の内容だ。居飛車側の対策が多く、紙数の関係で細かくは解説できないので
仕方がない。しかし、穴熊との攻防最前線を載せてほしかった。

前半の先手中飛車の章は、知らない人はぜひ読むべきものだと思う。
なかなか面白い戦法だと思うはずだ。
ただ後半は必読という程の出来ではないだろう。

ちなみに対象棋力は２級から二段程度だと思う。

この本を読むと力戦振り飛車が大好きになれる！
そんな一冊に仕上がっています。

先手番でのゴキゲン中飛車は従来では
▲76歩△34歩▲16歩△84歩▲56歩の出だしで、
相手の△84歩を待ってからゴキゲン中飛車を目指すのが普通でした。

後手に飛車先を保留されるとゴキゲンにするのが難しく
（▲56歩に△88角成〜△57角打があるため）、
この変化があるのなら、相手の同意なしには指せないことになり、
勉強するのも面倒だったのですが、この本で解説されているのは、
先手番では初手▲56歩からの力戦中飛車、後手番は従来からのゴキゲン中飛車です。

近藤さんの新ゴキゲン中飛車や鈴木さんが将棋世界に連載中の
パワー中飛車講座の出だしと同じ出だしで、とっつきやすく変化も明快。

攻め筋を覚えてしまえば、色々な場面で応用が利くし、
少し指しなれれば逆に中飛車が避けなければならない形もわかりやすい。

私は元々力戦系の振り飛車が嫌いで、ゴキゲンも早石田もあまり指さなかったのですが、
この本を読んで一発で力戦中飛車党になっちゃいました。

これに合わせて、近藤さんの「新・ゴキゲン中飛車戦法」も読んでおけば、
多様な変化が頭に入り、（単純明快な変化なので頭に入りやすい）
プロの実戦譜でも勉強出来て言うこと無しでしょう。

力戦振り飛車を敬遠している、従来からの振り飛車党に超オススメします。
級位者〜初段程度の棋力でも楽に読める本です。

中飛車を初めたい人や高段者があらためて勉強したい人にもとてもわかりやすくいい本だと思った。