Neu!は、初期クラフトワークに参加していたミハエル・ローターとクラウス・ディンガーの2人によるユニット。ちなみにNeuとはドイツ語で「新しい（New）」を意味する言葉だ。
   本作は1973年発表のセカンドアルバム。前年発表の1st『Neu』で確立された、いわゆるハンマー・ビートによる音響的な快楽／緊張を志向するサウンドがさらに広がりを見せた傑作だ。テープ処理などの遊びの要素が増加したことにより、ノイジーかつトランシーな感覚はさらに増幅した。
   クラフトワークとも共通する世界の、反復が快感を誘う元祖テクノミュージック<7>、早回しによってドラムンベースそのものな音を作り上げた<5><9>、ノイズとハンマー・ビートがせめぎ合う<2><4><6>など、73年の作品とはにわかには信じがたい、恐るべき先進性を発揮している。
   P.I.L.やジョイ・ディヴィジョンといったパンク・ニューウェイヴ勢をはじめ、音響派、テクノ系、ノイズ系など、このアルバムからの影響抜きには語れない音楽は多い。ジャーマンロック最大の成果の1つがこのアルバムだろう。（今井直也）