微笑ましく読める
★★★★☆
子供向け性教育マンガ『ないしょのつぼみ』の2巻。
1巻とは別のキャラクターで構成され、前作同様1冊で完結している。
テーマとしては、「性」を広範囲に渡って網羅した1巻とは異なり、
2巻はあまり性教育を全面に押し出していない。
ブラジャーと脇毛、胸の膨らみと生理、出産を少々。
筋力や身長などの男女の身体的な差異といった程度。
つぼみが縁に脇を見せるシーンは、ある種の人たちには
恐らくとても萌えると思われるが、その「萌え」という観点からも、
前作より遥かに少なく物足りなさを覚える。
(注:自分はある種の人なので、そのシーンは萌え悶えました)
恋愛という観点からも、全体的に未発展で物足りない。
ただ、絵柄は安定して可愛く、巧みに描かれた子供たちの
ほのかな恋心は読んでいてとても微笑ましい。
地球人の調査に着たという縁の設定も奇抜で楽しめる。
前作と比較せずに読むのであれば十分面白い一冊。
女性作家ならではの視点
★★★★★
最近の可愛い系の絵柄は、とにかく下品な方向に
走りすぎて(最近の少女漫画もセックス描写がひどい)
なにか低俗に感じてならなかったけれども、
ちゃんとした性教育を女性作家の視点として
きれいに表現できる人は、ちゃんといるのだ。
可愛くてHなら売れるだろうと、馬鹿の1つ覚え
みたいなことばっかりの最近の日本漫画・アニメ文化は
見直すときではないだろうか。
やぶうち作品の一つの完成系
★★★★☆
私が思うのは、
「水色時代」からやぶうち作品の根っ子に流れる、共通するものとして、
「男と女の違い」があると思う。
それを端的に表現すれば、「性」なんだろうけど、
なぜ異性は惹かれあうのか?とか、
そういった「曖昧な」空気感の表現はこの作品で一つの完成をみたのではないでしょうか。
「性」を意識しだす年齢のお子さんのいる家庭に是非1冊。
もしお兄ちゃんが生きていたら…こんなお兄ちゃんなのかな…。
★★★★★
本書は小学館の小学4年生2月号から小学5年生2月号まで全13話連載された漫画の単行本です。
「2巻」と銘打っていますが共通しているのは、
主人公が小学4年生の「つぼみ」という名前の女の子という点だけです。
まあ一種のパラレルワールドと思って下さい。
扱う題材は初めてのブラ選びとか、初潮とか、男の子と女の子のほのかな恋心とか、
保健体育の授業で赤ちゃんはどこから生まれてくるのかのビデオを見たりとか、などです。
性教育漫画とこの漫画は呼ばれているようですが、
大の大人が見ると性教育のサワリのそのまたサワリといった程度です。
今回の「つぼみ」には赤ちゃんの時に死に別れた「縁」という名の双子の兄がいて、
地球人の種族保存本能を調査にきた宇宙人が「生きていたならこんな感じの年恰好の『縁』」として登場し、
周りの人の記憶を操作して「つぼみ」と同居します。
ある意味残酷な事をする宇宙人だなあと思いました。
『縁』が地球を去る時、素敵なサプライズがあるのが救いです。
性教育漫画ではなく、やぶうち優先生の漫画のひとつとして読んで欲しい1冊です。