ヘヴィなリフが正面切って展開する本作は、実によくできたレトロ・ロック・アルバムで、手拍子やキャッチーなコーラス、あふれんばかりの自信に彩られている。ジェットの盗みの手口は鮮やかだ。AC/DC、ヴァーヴ、オアシス、ハンブル・パイ、エアロスミス、ブラック・クロウズ、ムーニー・スズキから気ままにパクっている。
本作の数少ない弱点は、歌詞と比較的ソフトな楽曲にある。歌詞の大部分はきわめて陳腐で、たとえば「なあ、あんな顔が印刷されたカネなんか必要ないよな(Now you don't need money with a face like that, do ya)」という具合。まるで「1973年」と入力した最新の作詞プログラムに書かせたみたいだ。アルバムの半分を占めるバラードについては、とりあえず上出来といえる。このうち、「Look What You've Done」はオアシスっぽく、「Timothy」はピンク・フロイド的で、「Move On」はスモール・フェイセス風。しかし、このグループの本領はミッド・テンポあるいはアップ・テンポのノリのいいチューンにある。(Mike McGonigal, Amazon.com)