そこで、少年は世界を変えるようなアイデアを思いつく(まさに、電気や火や宇宙の果てを発明したのと同じくらい画期的なアイデア!)。お父さん(新聞ばかり読んでいる無口な男)を金魚と交換することにしたのだ。少年はネイサンを説得しようと、お父さんの自慢をしはじめた。「お父さんは、金魚100匹分くらい大きい」「泳ぎだって、金魚よりうまい」(「嘘ばっかり」と妹は言ったのだが)。
けっきょく、ネイサンは、金魚とお父さんを交換してくれた。家に帰ってきてそのことを知ったお母さんは、とても怒った。仕方なく、少年はネイサンのところにお父さんを迎えに行くことにする。ところが、ネイサンはすでにお父さんをエレキギターに換えていた。滑稽なページが続き、お父さんは次から次へと、いろいろなものに取り換えられていく。子どもたちがやっとのことでお父さんを探しだすと、お父さんは、新聞を読んでいた…。
喜劇界の巨匠、ニール・ゲイマンと一流の画家、デイヴ・マッキーンが、大人も子ども楽しめる素晴らしい絵本を作りだした。格調が高いうえに、愉快。数々の技巧を凝らしたイラストは、芸術的完成度も高い。家族崩壊の危機を子どもの視点で小気味よく展開している。