2部では、「ハルちゃん」と「ヨキ」の兄弟は親と暮らせない子供たちの暮らす施設に預けられます。そして、ここでも待っているのが「暴力」です。
親の居る家庭の子供たちから、施設に対する子供たちに対する「暴力」「偏見」。施設の子供たちは、外からの暴力に結託していこうとは考えません。
「自分は違う。自分はいつか、この施設を出て行き、親と暮らすから。」施設内の子供たちの心に存在する「差別意識」。自分さえいじめられなければいい、という「自己中心的な自己防衛」。
また、「ハルちゃん」の担任による暴力。親が東大出と知ったとたん教室で始まってしまう、不当な扱い。
様々な暴力の中でも、「ハル」と「ヨキ」は全く違った対処をしながら、生活ていきます。そこに、暗さはありません。春のザリガニつり、夏のプール、中学生との野球試合。日常は「闇」ばかりでなく、「子供時代しか味わえない光」も四季の中に存在します。
ただ、「また、あの家で両親と暮らしたい。」一番言いたくて、叶えられない希望を抱えて。それは、施設に住むどの子供の望みでもあるのです。
一番の望みを叶えられぬまま、「子供」がどう生きていくのか?これだけが、テーマではないと思います。読む人によって、その人のテーマを見つけられる、多くの人に読んでもらい感想を聞きたくなる作品です。