きんらんどんすの帯しめながら・・・
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若い方はこの「花嫁人形」のうたを知らないことでしょう。
戦前、戦後の物も娯楽も少なかった時代に、
少女たちに夢をあたえた蕗谷虹兒の詩画集です。
1935年に出版された、文庫本サイズ、ハードカバー、紙箱入り本を、
装丁・挿画等、出来る限り原本に忠実に復刻した貴重なものです。
詩と白黒の線画のなかに、所々カラーの絵と、
巴里サロン・ドートンヌに出品された作品が織り込まれ、
手書き文字も、大正、昭和初期に見られる独特の哀愁があります。
雑誌「ひまわり」や蕗谷虹兒、中原淳一を知らない世代なのに、
たまらなく懐かしいと感じるのは遺伝子のせいでしょうか。
「昨日の作は、今日もう見るのもいやになるのだ。
五十枚以上の描き下しを溜めるのは大変だった。
五枚描いては破り、十枚描いては破り、
途中で幾度絵筆を捨てようとしたことか。」(跋より)