Midnight Blue
価格: ¥993
ケニー・バレルの魅力は、そのブルージーなギター・プレイにある。といっても、それは真っ黒な感じではなくて、どこか都会的で洗練された感じのアーバン・ブルース。だからバレルが最高に輝いているのはブルースを弾いている時だ。アルバムでいうと、本作がまさにそれ。オープニングの<1>が始まった瞬間、思わず鳥肌が立つ。4曲目のタイトル曲にさしかかると恍惚の境地。そしておなじみの<6>になると、もうどうにでもしてくれと叫びたくなる。
とにかく本作はブルースのオン・パレード。しかもスローありミディアムあり、あの手この手で楽しませてくれる。単にブルースをやっているというだけでなく、それぞれの曲に表情があり、泣かせるメロディばかりなので満腹感を味わえる。ブルージーなギターと相性がいいのはオルガンとサックスというのが相場だが、本作ではスタンリー・タレンタインのテナー・サックスが、これまた持ち味を発揮したソウルフルな演奏で、ジーンと胸に染みる。(市川正二)