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墓場鬼太郎 (1) (角川文庫―貸本まんが復刻版 (み18-7))

価格: ¥860
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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不気味だが恐くはない ★★★★☆
読んでいると昔の記憶が蘇ってきて、バックを黒一色にして人間を浮かび上がらせる手法は当時のいろんなマンガで使われていて、手塚作品(ひげ親父が主役で活躍する)にもあったはずだし、TVの「少年ジェット(実写版)」でも白黒を逆転させて使用された場面があったと記憶する。当時はやりの表現方法のひとつだったのだろう。

この作品の冒頭「妖奇伝」の「幽霊一家」では鬼太郎の両親が現れて、鬼太郎がどのようにこの世に生まれてきたのかを描いているが、そこには生への執着が感じられる。また、めだま親父は我が子が心配なあまり死に切れずに生まれたのだが、妖怪で不気味ではあるが父親の情の深さを感じる。ねずみ男も割りと早い段階から出ていて、基本的キャラクターはこの頃には完成していた。

作品は妖怪を扱っていて、作風も不気味なのだが、ストーリーは何かが抜けてるおかしさがあって、恐いようで恐くない。このあたりが後に「ゲゲゲの鬼太郎」としてブレイクしていく萌芽のようなものをうかがわせる。
どうしようもない不満 ★★☆☆☆
内容的には5つ星。しかしあえて2つ星にしました。そりゃあ確かに貸本の墓場鬼太郎を復刻するだけでも大変な作業だったろうし、幻の作品を比較的安価な文庫本で読める幸せを感じながらも、水木作品となるとこの体裁ではやっぱり不満が先に立ちます。
大判で読みたいのです!緻密で美しい水木先生の画を細かい部分まで堪能しようと思えば、残念ながら文庫本では辛すぎます。昨今の水木ブームで旧作の復刻が文庫本中心になされているようですが、大判での刊行も考えていただけませんか?でなければ「水木しげるマガジン」の出版を希望したい!!
そして伝説に… ★★★★★
時代と共に変わりゆく物、変わらない物。
本作は後者だ。まだ30代になったばかりの私にはこの墓場鬼太郎に慣れ親しんだ世代からみれば若輩者かも知れないが、戦後の貸本時代からこの現代まで輝き続ける鬼太郎サーガの全てが本書にある。
大ブレイク直前のエネルギーに満ちている ★★★★★
確かにこわいですが、大ブレイク直前のエネルギーに満ちているというか、
読んでいるうちに水木マンガのオーラに包まれてしまいました。
めだまおやじ・ねずみおとこ・ねこむすめなど鬼太郎の仲間達が順番に
生み出されていく様子もわかります。
ゲゲゲの鬼太郎では造形が変わっているのもあり(ねこむすめ)、その
原点とも言うべきものです。
とてもおもしろいです!
これが元祖鬼太郎! ★★★★★
“墓場”と“ゲゲゲ”は全然違います。こちらの鬼太郎は顔が歪んでるし、人も助けません。それどころか、鬼太郎自身は手を下さずとも、彼に関わる人間は発狂しあるいは死においやられた者すらいます。境遇を哀れに思い育ててくれた恩人が地獄に落ちても何とも思わないのです。

あ、とはいっても全く殺伐とはしておらず、どこかのんびりとした空気が流れ、ユーモアやウィットも散りばめられています。この独特のバランス感覚は水木さんならではのものでしょう。この巻の見どころはまず何といっても記念すべき鬼太郎と目玉親父の誕生。そして、夜叉とドラキュラという東西二大吸血鬼の登場。あと地獄の風景の描写も印象的でした。凄く盛りだくさんで、読み終わったら続きが気になってすぐ二巻が欲しくなると思いますよ。

自分は素晴らしかったアニメ版を見てからこの原作を購入したのですが、こちらも大変面白く読めました。「墓場鬼太郎」とは最初の二回は「妖奇伝」という貸本に連載され、その後しばらくは「墓場鬼太郎」を表題作とする貸本に連載された作品なのですが、それらの表紙や目次など(この巻では五号分あります)がそのままカラーで再現されてるというこだわりも非常に良かったです。漫画もそれぞれの号の巻頭数ページはカラーです。