洗練されたサックス・マンとして超のつく売れっ子になったケニー・Gだが、着実に没個性化への道をたどっている。その道からそれるのは、時おりファンキーなもの(と彼は思っているらしい)に首を突っこんで、何ともぶざまな姿をさらすときだけだ。人気のチューンを集めたこのCDを聴いていると、すべての感情が天気予報のBGMにぴったりの「Songbird」(1987年にケニー・Gをラジオでブレイクさせた曲)のレベルまでダウンしてしまう。フランク・シナトラの曲にテクノロジーを導入しようと、こともあろうにマイケル・ボルトンを起用してサム・クックの思い出をぶち壊そうと、どれもこれもFMの局間のノイズとまるで変わらない。(Rickey Wright, Amazon.com)