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★★★★☆
この本は一度は会社再生法適用という状況に追い込まれながらも、そこから再生し、唯一無二の位置を獲得してしまった筑摩書房の倒産直前~現在までの社史です。
よくもまぁ、こんな本出したよなぁ、という思いもある中、中身はなるほど、と思うところも多い一冊でした。
数多の出版社が古き良き教養の在り方にしがみつき、本当に教養を必要としている人たちからの支持を得られずに自滅していく中、筑摩書房は軽やかにその状況をサバイバルし、いつの間にか唯一無二の立ち位置を作り出してしまった。
・自分たちの思う価値からの発想(言うなればメーカー主導の発想)から、お客様が何を求めているのかからの発想(言うなれば市場からの発想)への転換と
・自分たちのコアコンピタンスを最大限に生かしていくための戦略
という企業としての基本の徹底をしっかりとやってきたこと、そして
・教養の在り方自体が変わってしまったのならば、その変わった教養に対して自分たちが何ができるのかを追求する
という変化対応の2つの取り組みがかみ合ったことなのだと思う。