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戦後の巨星 二十四の物語

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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対談集の成功は本田氏の“よそ者”的資質に負っている ★★★★☆
 本田氏はいわゆる昭和ヒトケタで、戦後の高度成長を支えてきた世代だ。しかし、この対談集を通して氏に感じるのは、そうした世代的マジョリティーと自らに一線を引く、はぐれ者のスタンスである。それは生島治郎言うところの「コロニイ出身の流れ者」という来歴が大きい。そしてこの対談集の成功は、まさに本田氏の“よそ者”的な資質に負っている。
 氏は、岡本綾子をはじめスポーツ選手との対談で、一年か二年しか歳が違わないのに先輩が威張り散らす運動部体質への嫌悪を露にする一方、大正生まれの中内功にも自分より若年の谷川浩司にも同様の敬意を表す。世代というものに囚われていない。そして世代だけではなく、地縁、血縁といった共通項で群れる“日本共同体”を冷徹に見極める“よそ者”としての批評眼を対談を通じて強く感じるのだ。
 “よそ者”的な資質は対談者との関係性についても見て取れる。「ほどのいい距離感」という言葉が桂三枝、井上陽水、フランク永井との対談で出てくるが、編集付記でも触れているように、それを最も自覚していたのは本田氏自身だろう。「ひととは深くちぎらない。俺はそういう生き方をしてきたんだよ」という言葉は氏の姿勢を端的に表している。
 この対談集に登場する巨星たちは、ある意味、日本的共同体から浮き上がった、あるいは突き抜けた異者である。ショーケン、美空ひばり、中内功、北の湖、落合博満... 人々は彼らに、自らとは住む場所の違う異者として憧憬、羨望、妬み嫉みといった感情を持つ。氏が谷川浩司との対談で口にした「だれかに自分の及ばない素晴らしい人生の景色を見せてもらいたいという願望」こそは、人々が異者に託す思いである。異者である彼らから本質的な言葉を引き出せているのは、本田靖春自身が「異者」の資質を持つからに他ならないだろう。
 戦後の巨星二十五番目の物語として、氏の遺作「我、拗ね者として生涯を閉ず」も読んでみたい。
戦後の超大物にインタビュー ★★★★★
長嶋茂雄、美空ひばり、ビートたけし、手塚治虫、井上陽水など、
大正〜昭和の初期に生まれ、戦後の日本を代表していった人々のインタビューです。

中内功が戦争から帰ってきたときの話は、戦争の理不尽さがちょっと伝わりました。
「鹿児島の加治木港について、六十円と全国無賃乗車券と大きな牛缶を一個くれたですな。
 それでお払い箱ですわ。(中略)
 小倉の駅まで無賃乗車で行きまして、豆腐を売っとったんで、いくらだっていったら、
 五銭だと思ったら五円だといわれてね(笑)。
 命を的にして働いてきて豆腐十二丁しか買えないなんて、それは大変だということでね」(p.77)

インタビューの相手がいずれも超大物だったためか、
あるいはインタビュアーの本田氏の人あたりのやわらかさのためか、
相手を怒らせて本音を引き出す、ということをめったにしません。

できるだけ相手を褒めていい気分にさせて、気持ちよく話してもらう、
というインタビュアーのように思いました。

ですので、これらの本に登場する人物のファンには、素晴らしく面白いと思います。

逆にアンチファンの章だと、
「あーこんな奴に気持ちよく喋らせちゃって。遠慮しないでガツンと言っちゃえよ」と
歯がゆくなることもあります。
何故、これほどの対談集がいままで単行本化されていなかったのか(中年の意見) ★★★★★
未読の方のために、この対談集に登場するゲストを紹介。
萩原健一、阿佐田哲也、美空ひばり、中内功、植木等、山下泰裕、生島治郎、北の湖、鈴木清順、衣笠祥雄、谷川浩司、岡本綾子、趙治勲、つかこうへい、立花隆、桂三枝、井上陽水、落合博満、手塚治虫、ビートたけし、中上健次、長嶋茂雄、野平祐二、フランク永井、の24名。
凄い、の一言。

週刊誌の連載企画ということもあって、何度も対談を繰り返しその人物像を描き出すというものではないが、これだけの人達の対談をまとめて読むことができるのはやはり圧巻である。

対談の魅力は、その人物が発する言葉をそのまま(編集されていなければだが)読者が知ることができる点にある。同じ言葉でも、それを「評伝」等の他人が書いた作品で知るのとは、やはり重みが違う。リアルさが違う。その話の前後を読みながら、印象深いその言葉の意図を読者が推測できる楽しみがある。

だからといって、当然、対談すべてがいいものではない。当然、ゲストが魅力的な人物を迎えてもホスト役に魅力や相手の話を聞く能力がなければ、空虚な対談になってしまう。

本書でホスト役をつとめる本田靖春氏は「事件の読売」と称されていた頃の読売新聞社会部記者出身のノンフィクション作家だが、代表作である「不当逮捕」にはっきり現れているように、権力には厳しいが人間としては優しくシャイな人物である。視線はいつも弱者に向けられている。また、阿佐田哲也のエッセイにも度々登場しているが、なんとなく裏街道の匂いを感じさせる人物でもある。人間的にも引き出しが多いに違いない。そして、対談を読めばわかるが、話を聞くのが上手い。

ゲストの魅力と聞き役としてのホストの魅力。昭和を生きてきた中年(自分)にはたまらない対談集だった。
目次を見ただけで眩暈が・・ ★★★★★
’84年から’85年にわたって週間現代に連載された企画モノですので、もう20年も前の記事。どうしても目を吸い寄せられるのは(当時と立場は変わっても)今も現役バリバリの方。

立花隆さん。ロッキード裁判傍聴、皆勤して頂いてありがとうございました。桂三枝さん。「笑いとは、事実・誇張・飛躍・・・」。落合博満さん。「長嶋さん・王さんが「いい子」だったから選手の待遇が良くならない」。落合さんのような人がもっといれば日本の野球界も今のような草刈場にはならなかったか。

挙げていけばキリがありませんが、「巨星」の方がたの言葉の重みを感じる、という以外に書きようがございません。