まだ新品で入手可能!!
★★★★★
これがまだ新品で手に入るなんて講談社さん、にくいです。
感涙あふれる名作。
本田さんが丁寧に、検察局と政治家との関わり、
保守とリベラルの暗闘の長い歴史を、ぼくらボンヤリ生きてる
人間にもわかるように、
ストーリーとしても面白く描いてくれます。
本書のキーマンの一人である女性アナーキストの手記は、
都内の図書館の閉架に案外所蔵されているので、
興味ある方は借りてみてください。
ものすごく考えさせられる、真摯な手記ですよ。
ラストがある意味ファンタジー!!
こういう人たちがいた事、忘れたくない!!
面白い
★★★★☆
吉村昭の破獄を読んだ直後に手にしたので、馬場検事の名前で両作がつながり、時代背景が少しだけ立体的になった。
新聞が軋轢と闘う存在であるのは理解できるが、今の新聞社を眺める時にフィードバックされる部分が多くないのは悲しい。
とはいえ小説としての出来は素晴らしく、一気に読まされた。
一つの事件から見えること
★★★★★
本田靖春さんの著作の中で、最初に読んだのがこの本だった。
検察による新聞記者の逮捕、という題材を描くことによって浮かび上がったテーマは2つあると思う。1つは、ニュースソースの秘匿という記者の倫理。もう1つは、記者を守る新聞社の姿勢。
どちらも未だに根本的に解決していない、現代的な問題と言っていいのではないか。ジャーナリズムを考えるには、うってつけの本と言っていいだろう。
あと、登場する記者たちが生き生きとしているのに、好感を覚える。
検察の内部抗争に翻弄された人生
★★★★★
一種天才的な感性と、独自の検察庁内部情報によってスクープを連発した花形記者が、政治絡みの検察の派閥闘争に巻き込まれ、執筆記事による名誉毀損で逮捕拘留され、新聞社からも見捨てられて行く。著者はそれを、単なる先輩記者への追悼に終わらせることなく(そこの優しさもまたすばらしいのだが)、検察庁のおかれている政治的状況の変遷、新聞というメディアの変質、などの大きな枠組みの中で描いている。「時代」の空気が行間から立ち昇ってくるような文章である。著者には本意ではないかもしれないけれど、ジャーナリストとしては主人公より著者の方により魅力と力量を感じたなあ、僕は。今の新聞記者はどうなんだろう?ちなみに解説を寄せている黒田清も先日亡くなっていますね。残念です。