ノンフィクション冬の時代だからこそ……
★★★★★
文芸……とくに「ノンフィクション本」が売れないという。
それは「時代」だけではなく、書き手にも原因があるのかも知れない。
……そんなことを、本田靖春を読むたびに思う。
ノンフィクションとは、書き手の全人格を投入して出来上がるものであろう。
本田靖春は、そのような書き手の代表だった。
このムックは、本田靖春以降のノンフィクション作家、ジャーナリストらの
エッセイや対談で構成される。
とくに冒頭の、佐野眞一/吉見俊哉の対談は出色。
「戦後」を追い続けたジャーナリスト、という位置づけは、
非常に納得のできるものだ。
また魚住昭と元木昌彦の対談も、本田靖春の核心に迫って、読ませる。
それぞれ短いが、
単行本未収録作品が掲載されているところも、魅力である。