塚越さんはわざと整関数だけに的を絞り、その代わりに微積分の原理の説明に関しては入門書としては、かなり高度なレベルまで到達させることを意図したと思われます。関数の微分可能、連続性に着目させるロールの定理。数値計算に重要なニュートン法。そしてコラムで ε-δ 論法にまで触れ、最後は偏微分、重積分の入り口まで到達することができます。
微積分を学びたのに適当な入門書がなくてニッチモサッチモいかない方にお勧めしたい本です。とりあえず「微積分の原理」に触れ、そして本格的な書物に取り組むための準備の書として位置づけられると思います。
たまたま本書読了後、ブルーバックスの『高校数学でわかるマクスウェル方程式』という電磁気学の本を手にしました。dy/dx や ∫ のついた数式ばかり出てくる本なんですけど、本書のおかげなのか、数式の意味するところがよく分かり、結構すんなり読み進めることが出来るので、自分でもビックリしています…。