標準的な内容だが、良い
★★★★★
九後先生の名著の下巻。
上巻のBRS不変性の解説のような、オリジナリティにはやや欠けるが、場の理論を学ぶ上で必要なことが押さえられている。
「自発的対称性の破れ」は、ワインバーグ・サラムの標準模型を理解するためのカギとなる理論である。ゲージ場の対称性が破れる場合、ゲージ粒子が質量を持つわけだが、これは未だ摂動論のレベルで証明されているに過ぎない。その点も丁寧に説明してくれている。
くりこみ、くりこみ群、アノマリーの解説も標準的であり、わかりやすい。ただ、このあたりの分野は研究も進んでいるので、さらなる勉強が必要だろう。
この教科書を上下巻読破すれば、場の量子論に関して、そうとう力がつくと思う。ここに載っていない話で重要なものは、「モノポール」や「インスタントン」ぐらいであろうか。