ロードアイランド州クアホッグでさまざまな問題を抱えているグリフィン一家は、「ザ・シンプソンズ」をほうふつとさせる。割れたあごが特徴の父親ピーター・グリフィンは、ホーマーと同類のうすのろだ。あるエピソードでは「ピーター、あなた昨夜、私に何を約束してくれたかしら」と悩み深い妻のロイスがたずねる。「男同士のパーティーに行っても酒を飲まないと約束した」と彼は答える。「それであなたが実際にしたことは?」と彼女はたずねる。「パーティーで飲……おっと、わなにひっかかるところだった」と彼は高笑い。家族はほかにティーンエージャーで、高校で完全にのけ者にされている娘のメグ、ばかなところが父親にそっくりな13歳の息子のクリス、皮肉っぽくしゃべる犬のブライアンがいる。このシリーズでもっとも印象的なのはフットボール頭のスティーウィー(声はマクファーレンで、エミー賞を受賞)、かつて母親の「卵巣という監獄」を逃れたという悪がきだ。『ファミリー・ガイ』は、『ザ・シンプソンズ』も踏みとどまった領域に大胆に踏み込んだ。あるエピソードでは、メグの唯一無二の親友が集団自殺をめざすカルトの一員であることが判明する。別のエピソードでは、死神(声はノーム・マクドナルド)が招かれざる客となる。各エピソードは超現実的なシーン(あるエピソードではピーターが自分の家を子犬に変身させる)やポップカルチャーの要素、テレビ、映画、コマーシャルのパロディーを織り交ぜたスピード感あふれる展開で、繰り返し見たくなる作品だ。『ファミリー・ガイ』は、家族視聴向け放映時間の制約や、頭の固いネットワークの役員たちの圧力からついに解放され、ファンは冒とく的で罰当たり、常識はずれの魅力を存分に楽しめるようになった。DVDで楽しむグリフィン一家の物語をお見逃しなく。(Donald Liebenson, Amazon.com)