NOW I GOT WORRY
価格: ¥2,345
「ジョン・スペ」の知名度を一気に引き上げた傑作『オレンジ』に続く4th。
ジョンスペといえば「完全に生まれてきた時代を間違えたようなアグレシッヴ&ブルージーなロックンローラー」というのが一般的なイメージなわけだが、実はBECKやビースティ・ボーイズなどの90年代を彩ったロック・アーティストと同様、作品ごとに多様なサウンド・バリエーションへのトライアルを見せる知性派のミュージシャンでもある。ロックンロールを音楽的・理論的にとらえ、作品に鋭い批評性と適度な新鮮さを加えながら音楽シーンをサバイブしていく彼の資質は今作にもしっかりと浮かび上がっていて、ヒップホップのテイストを取り入れたナンバーなどはその顕著な例といえるだろう。
しかし、作品全体から感じられるヴァイヴはやはり、「イエーイ! ロックンロール!!」だったりするのがジョン・スペのすごいところ。知性に足を取られすぎてグルーヴ感を失うことも単なるロック・バカに成り下がることもなく、ロックンロールのもつ熱を現代的なサウンドで体現できる才能は、本当に稀有。ロックンロールというスタイルの「新しさ」を体感できる1枚。(森 朋之)