アイル・ビー・ゼア [DVD]
価格: ¥3,129
控えめな作品だがとことん愉快なこのコメディは、スコットランド出身のコメディアン兼俳優で、脚本も書けば監督もこなすクレイグ・ファーガソンが監督しており、彼のおちゃらけた楽しい想像力の産物である。ファーガソンが演じるのは引退したロックスター、ポール・カー。ポールは80年代にセンセーションを巻き起こしたが、ウェールズの大邸宅で酔った勢いで奇行を起こし、心ならずも精神病院に入っている。まもなく昔のバンド仲間(ラルフ・ブラウン)が現れてポールの断酒に手を貸すいっぽう、長いこと会っていなかった恋人(ジェマ・レッドグレーブ)が傷心のミュージシャン、ポールに思春期の娘(シャルロット・チャーチ)を紹介する。自分に娘がいるとは思ってもいなかったポールだった。そんな彼が、娘に会っていなかった分を取り戻し、関係を修復しようとするエピソードが展開されるが、意外性に満ち、実に風変わりなこのコメディには、古風な村人がギターのフィードバックの起源を論じあう場面や、75歳のベテラン俳優ジョス・アックランド(『サバイビング・ピカソ』)がロイ・オービソンばりのロカビリー歌手を演じる場面も織り込まれている。うれしい驚きなのは、黄金の声を持つシャルロット・チャーチが本作で映画デビューしたことだ。長年、ソプラノの神童としてあがめられてきた彼女だが、天性の女優であり、ポップ歌手としても洗練されていて最高であることがよく分かる。(Tom Keogh, Amazon.com)