昔は地域社会に人々が集う場があった。そんな場では子どもも大人も、高齢者が人生のさまざまな危機や人生に見出した意味について語るのに耳を傾けた。そうした地域社会に代わるものとして、著者たちは生死の境に立った人々の話をふんだんに盛り込んだ本書を提供してくれている。炉辺(ろばた)で語る人生の先達さながらに、そうした個人の体験談を、確かな生き方、行動の重要性、自分の力を見出す法、優しい人間関係、自分に対する思いやりといったテーマの中に織り込んでいるのである。美しくていねいに書き上げられたこの本の恒久的な価値については、とうてい語り尽くすことができない。生を鋭く見つめ直すチャンスの到来と言える。私たちは最期に、何に最も価値を置くだろうか?ヒントはいくつかある。たとえば、あがくのをやめて心が穏やかになった日、傷を癒したとき、そしてもちろん、愛に心を開いた瞬間。そのような経験はすべて尊い。