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モーム短篇選〈上〉 (岩波文庫)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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あまりにも素晴らしい翻訳 ★★★★★
原書で読みましたが、この翻訳は素晴らしい。文章のリズムを大切にしてさらに原典の味わいをも
つたえています。これは日本語による別の文学といってもいいのではないでしょうか。。
娯楽であり人生訓 ★★★★★
ふとした偶然からサマーセット・モームに興味を持ち、人間の絆、月と六ペンスの次に本作を読んだ。
ここまで続けられたのは、作品としての魅力に加えて、行方氏の現代的な翻訳によるところが大きいと思う。本当に読みやすい。

短篇集とはいえ、ボリュームも多く読みごたえがある。
上下巻を通じて、モーム作品に見られる人間の二面性や矛盾した心理を、観客席から見るかのように楽しめる。
ストーリーにもメリハリがある。それぞれの話の最後がドラマティックで、終盤はドキドキしながらページをめくっていた。

当時の階層社会や人種への偏見を意識せざるを得ないが、現代人が忘れがちな心の豊かさについて考えさせられる。
巻末のあとがきには、翻訳者の研究を踏まえた要約・評論があって、これもまた興味深い。
モーム短篇選〈下〉 (岩波文庫)と合わせて楽しみたい。
最高の訳者による最高の訳 ★★★★★
久しぶりにモームの短編が読みやすい翻訳で読めるようになった喜びは、実に大きい。あまり回顧的になるのも嫌だが、数十年前なら、あらゆる文庫でモームの短編は入手できた。それがいつの間にやら、姿を消してしまい、人生と人間につぃての真実を、面白い形で明らかにしてくれる作品を愛してやまない読者はどんなに淋しく思っていただろう!それが、ようやく今、生きのいい現代日本語で復活した。この上下2冊と、「雨」と「赤毛」を読めば、面白い話を堪能して、心も頭もたっぷり栄養が行き渡る、と断言できる。
暗部と多様な側面 ★★★☆☆
外側から観ると不可解だが、
当事者にとっては通常の状態がある。

あなたの周囲にも、こんな人達がいるでしょう。
周りにいるだけならまだしも、
その人々から今まさに、直接迷惑を受けているかもしれない。

(あなた自身が厄介者、だという可能性は置いといて・・・)

* 性格の破綻
* 多面性

人間の二面性や奥行きを、斜に構えた位置から
シニカルに観察する作家、サマセット・モーム

不幸と幸せが行ったり来たりする話は、人生の縮図
希代のストーリー・テラー ★★★★☆
最近の岩波文庫は、昔々に出版したものを重版するのではなく、外国小説は新訳で、日本の小説は版を変えたりして出しなおしているけど、モームもその対象みたいでこの短篇選以外も出ていて、これらがまたかなり面白い。
この短篇選は、訳者が「誰にでも楽しめるもの」という基準で選んだ18篇が収録されていて、上巻には以下のものが収録されている。
【エドワード・バーナードの転落】『月と六ペンス』にも通じる短篇
【手紙】これも南洋が舞台。ミステリーでもいける作品
【環境の力】環境が違ったら、違った人生を歩んでいたののではないか、と思われる二人の話
【九月姫】モーム曰く「自分の愛する人の幸福を自分の幸福より優先させるのは、誰にとっても難しい」
【ジェーン】異色な人物への興味と社交界への批判
【十二人目の妻】結婚詐欺師のお話
いずれもモームの人間不可知論、「人間は相互に矛盾する要素をたっぷり持つ複雑な存在であり、首尾一貫した人などいないのだ」ということをよくあらわしている作品群である。