旧くて新しい物語
★★★★★
Shadow of Windとは、主人公がふとしたきっかけで見つけた本のタイトル。この本の作者の秘められた過去が明らかになりながら主人公も成長するという物語で、いわゆる刑事モノや探偵モノに飽きた方には新鮮に映るかもしれません。
言語はスペイン語だと思います。英訳本にありがちな間延びした文章にならず、時にビビッドに、時に笑わせながら、休みなくストーリーが展開します。個性的な登場人物が作り込んであって、あっという間に読んでしまいました。バルセロナの歴史や街並み描写も心に残ります。しめくくりもダラダラせず、読み終わった時のすっきり感がたまりませんでした。イチオシです。
奇跡的な出会い
★★★★★
何の前知識もなく購入いたしました。
読み終わった後に拍手をしました。奇跡的な出会いに感謝します。
ロマンチックでドラマチックすぎるかもしれませんが、それを陳腐に感じさせないほどじっくりと丁寧に書き込まれていると感じました。
怖い部分にはぞっとさせられ、楽しい部分には明るい気分になり、本当に物語を楽しませていただきました。
何よりも読後感が爽やかであるのが私の好みでした。
重ねて出会いに感謝!
悲恋と、父と子の物語
★★★★★
舞台はスペインのバルセロナ。描かれているのは1900〜1950年代半ばという長い時間です。その間の、戦争、独裁政権という暗い時代を背景に、一人の忘れられた作家の数奇な人生をめぐる、長い長い小説です。
物語の始まりは、主人公Danielがその作家Caraxの、おそらくはたった一冊この世に残った著書「The Shadow of the Wind」を偶然再発見するところから。
このときDanielはわずか10歳。やがて彼は成長し、大人になり、同じ年の子供を持つまでの時間をかけ、謎の作家の足跡を少しずつ知ることになります。
Caraxの物語と、主人公の人生が微妙にシンクロしているので、読んでいるとどんどん深みに引きずりこまれていくような気分になります。
そして物語の終盤、平行線のように見えた二人の人生がついに重なる部分では、思わず涙が出てしまいました。
この物語の主題は悲劇に終わった複数の愛ですが、また同時に、父と子の物語でもあります。
男親というのは、息子の中に自分の分身を見たいのでしょうね。
たとえそれが仮想のものでも。
英文についてですが、原著がスペイン語ということもあるのか、(あるいはこっちがそう構えてしまっているせいか?)アメリカ英語で書かれた小説ばかり読んでいた私には、独特の文体だな、と思うことがしばしば。
単語レベルは簡単だよ、とは言えないです。
特に主要登場人物であるFerminが多用する比喩など、「?」ということが多かったのですが、まあこういうことだろう、と見当をつけたあたりで、ほぼ大丈夫でした。
でも、これは長い長い物語です。
読後の達成感は結構気持ちよかったです。
読み応えのあるミステリー
★★★★★
独裁政権のもとで第二次世界大戦の戦禍を免れたものの、抑圧されたスペインの都市で、一世代前の人たちの人生と主人公の人生が微妙に重なりながら、一人ひとりの登場人物がそれぞれ役割を果たしながら物語が収束していく、第一級のミステリーです。
最後は、それぞれに落ち着くべき所に落ち着いたのかと納得できる結末でした。
文章表現は、難解ではありませんが、どちらかといえば読みにくいほうに属するかと思います。
Excellent
★★★★☆
upon reading a new book, has searched out every book written by that author in an attempt to escape into the magic of the writer's narrative again. So few authors can capture your imagination with the written word and I am pleased to say that Carlos does a wonderful job of creating a true page turner. Mr Zafon takes the thrill of the 'hunt' to a new level, for someone is buying every book by author Julian Carax and burning them. And now that this stranger knows that Daniel, a young boy living in post WWII Spain, has a copy of 'The Shadow of the Wind' by Carax it is only a matter of time before they shall meet. Daniel, in an attempt to understand why someone would destroy such wonderful books, begins investigating the author - leading him to a startling conclusion that will have you awake late at night frantic to reach the end of this fantastic book. May I also recommend reading--The Fates by Tino Georgiou, it's an brilliant novel you don't want to miss.