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数の魔力――数秘術から量子論まで

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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数は恐怖を封じ込める。 ★★★★☆
人工透析には一定の死亡率が見込まれる。患者が医学的な介入を原因として死亡する確率は、極力下げる努力はされているが、完全にはゼロにならない。その確率が0.001%(10万人に一人)であっても、個人にとっては100%生存するか、100%死亡するかのいずれかであり、死亡する確率がゼロでないことが不安を引き起こす。数が我々の運命を決定するというのがラプラスのメッセージである。

飛行機事故で200人の死者が出れば、その死者の数によって飛行機は危険な乗り物だとのイメージが焼き付けられる。しかし、その具体的な事故の情景から抜け出させてくれるのも数である。10億人キロ当たりの事故死者の数は、車10.6人、航空機3.1人、列車0.6人。

「われわれにぜひ必要なこと。それは、運命を掌握しているという信念をもって、つまり技術が機能しているという信念をもって生きることだ。」

運命が数によって決められているが、被害者の役回りから解放してくれるのも数であることを理解すること、それが本書のメッセージである。
良質の数理エッセイ ★★★★★
 文系の人間はときにこの種の理系ものが無性に読みたくなる。そして、それが好著なら、頭の風通しが良くなった心地がするものだし、思想や芸術への連想も促されて愉快になれるから、一挙両得だ。
 本書はピタゴラスからパスカルまで8人の哲学者、音楽家、文学者、物理学者を章のタイトルとして掲げ、各人にまつわる数学上のトピックを紹介している。狭義の数学のみならず、数の神秘主義から音楽理論、暦法、論理学、確率と統計、量子論など話題は広範、叙述は才気に富んでいて、みごと。この著者は人文的素養も充分と見た。近年の同種のものでは、デュ・ソートイの2著(『素数の音楽』『シンメトリーの地図帳』)などとともに出色の出来ではないか。
 翻訳も上々の部類だが、Joseph は英仏ともに「ジョセフ」ではなく「ジョゼフ」、ブンゼンの名は「ロバート」ではなく「ローベルト」、「モアブル」は「モアヴル」(また、その名は「アブラハム」ではなく「アブラアム」)、「コイレン」は「ケーレン」とするのがよいだろう。