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日本の税をどう見直すか (シリーズ・現代経済研究)

価格: ¥2,592
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本経済新聞出版社
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税制の抜本改革に向けて―簡潔に集約されたプレゼン ★★★★☆

 消費税率の引き上げ等を巡る口合戦がブブゼラのように喧しい今日この頃、小沢一郎氏が今後「政府へ尋問之筋有之」(西南記伝)と勇躍蹶起するか否かはともかく、編者の土居丈朗氏(慶應大学)が述べるごとく「少子高齢化、グローバル化、格差拡大、政府債務の累増といったわが国が直面する深刻な問題」に対処するため、「今こそ、税制の抜本改革に着手すべきとき」(はじめに)が到来しつつあるかもしれない。そういった意味で、当書は税制見直し論議に関する良質な材料を提供しており、時宜を得た書物と言えるだろう。

 本書は、わが国経済が直面している様々な課題(少子高齢化、グローバル化、財政健全化、地方分権化等)に対応する税制の改革について、現代(主流派)経済学の見地に基づいた具体的な提言を行っているのが大きな特徴だ。たとえば、上述の話題となっている消費税は、「社会保障にまつわる受益と負担の世代間格差を抑制する」(序章)などのメリットを挙げ、その消費税増税に対する低所得者層への配慮として、「税の還付=給付付き税額控除制度の導入」(第2章)をオランダ等を引き合いに出しながら強く提案などしている。

 その他、OECD加盟国やアジア諸国と比較して表面税率が突出して高いとされる法人税率の各種特別措置を整理した上での引き下げや、個人所得を勤労所得と資本所得に分離して課税する二元的所得税、税制と社会保障の一体化そして地方分権改革に係る地方税の在り方など、税制に関わるイシューとその改革案が、簡潔に集約された本書の中で一通り提示されている。いずれにしても、私たち国民(納税者)としては、“党利党略の手段”あるいは“政争の具”とならない冷静かつ慎重な税制改革の議論を期待したい。