『Octavarium』は贅肉をそぎ落とした熱狂的なドリーム・シアターらしさで幕を開ける。古典的な音にも、古典的なプログレ・メタルの魅力にも妥協せずに前進を続けるバンドだ。ベーシストのジョン・マイアングは、アルバムの1曲目「The Root Of All Evil」をマイク・ポートノイの力強いが加減を心得たドラム、そしてギタリストのジョン・ペトルーシの一段とギターの可能性の領域を広げたような達人のリフに負けない重さで支えている。キーボードのジョーダン・ルーデスは微妙でありながら熟練したタッチで、ヘヴィーなプログレッシヴ・ロックの世界の土台をさらに強固なものにしている。

   だが、ドリーム・シアター健在を示す何よりも顕著な証拠は、このアルバムのラスト34分。10分間にわたる9.11の追想「Sacrificed Sons」はヴォーカルのジェイムズ・ラブリエに、今日最高に説得力のあるパフォーマンスを演じさせている。締めの24分間のアルバム・タイトル曲は、プログレッシヴ・ロックのオーケストラがまたもやクラシックの壮大なシンフォニーを奏でているようであり、このユニットの極上の時期をまたもや引き伸ばす役割を果たしている。どちらの曲も、この4人組の技巧、誠実さ、創意工夫を証明しており、また、たちどころに好まれるはずだ。このバンドの多様性を示すもうひとつの証拠は、臆面もなく売れ線狙いでU2風の「I Walk Beside You」に現れている。クロスオーバーのオーディエンスを否応なしに引きつけるだろうし、少なくとも、忘れられない冒険と言える作品である。（Jedd Beaudoin, Amazon.com）