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菜の花の沖〈1〉 (文春文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:司馬 遼太郎 出版社名:文藝春秋 シリーズ名:文庫し   1- 86 発行年月:2000年09月 関連キーワード:ナノハナ ノ オキ 1 ナ ノ ハナ ブンコ なのはな の おき 1 な の はな ぶんこ、 ブンゲイシユンジユウ 7384 ぶんげいしゆんじゆう 7384、 ブンゲイシユンジユウ 7384 ぶんげいしゆんじゆう 7384 江戸後期、淡路島の貧家に生れた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく…。沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を雄大な構想で描く。
感動をありがとう! ★★★★★
本書は、19世紀初頭、いわゆる幕末期から遡ること半世紀、まだ尊王攘夷思想もない、鎖国下の‘天下泰平’の世相にあった時代の、ひとりの船商人の物語である。幕末期をテーマとした小説は多いが、この時期の小説は、ほとんど見かけない。私にとって、まずこのことが、本書に興味を持った最初のきっかけとなった。

さて、本書は、2つのテーマを扱っていると思う。ひとつは、主人公高田屋嘉兵衛の生き様とロシア高官リカルド少佐との友情、そしてもうひとつは、そのようなことを可能とした当時の日本を取り巻く世界情勢である。

当時の日本には、「友情」という言葉はなかったのかも知れないが、この物語の価値は、まさに感動を呼ぶ「友情の物語」であるところにあると思う。淡路島の貧村に生まれた嘉兵衛が、裸一貫で兵庫へ流れ、そこで成功し、更に北海航路や蝦夷地の漁場を開拓する。その成功の過程には、彼の生死を厭わぬほどの並々ならぬ「志」と努力があって、まずそのことで私たち読者は感心してしまう。

第5巻あたりでは、詳しいロシア情勢や時代背景の紹介が延々と続き、主人公の嘉兵衛はまるでどこかへ消えてしまったように出てこなくなるのだが、ここは、第6巻でのフィナーレの前章でもある。すなわち、当時の日本を取り巻く情勢がどうだったのか、日本にやがて迫り来る外圧の前触れとなる事件や人々の動きはどうだったのか、を洗い出していて、ある意味、この小説が取扱うもうひとつの重要なテーマでもあるといえよう。そして、この情勢の理解こそ、続く第6巻での劇的なフィナーレを盛り上げる‘屋台骨’となる。

すなわち、嘉兵衛は、一商人でありながら、実質的に日本の外交部代表として日本とロシアの絆を繋ぐキーマンとなる。彼は、単なる漂流民では終わらなかった。既に、当時の蝦夷地を開拓した大立者であり、当時幕府直轄地であったこの蝦夷地において幕府高官の信頼を勝ち得ていた。そして、彼の情熱と人間性がロシア高官リカルドを惹き付け、幕府高官を惹き付け、眼前の国家的課題を解決する。そして、そこでは、何よりも彼とリカルドとの‘男と男の友情’がものをいったのである。

19世紀初頭の日本など、現代人がほとんど知る由もないなかで、このような感動の物語があったのかと思うと、実にこの小説が貴重なものに思えてくる。司馬遼太郎氏に、日本の感動をありがとう!と言いたい。
至極爽やかで情熱的 ★★★★★
 司馬作品の中で最も気に入っている作品。途中のロシア史が長々と書かれている巻を
辛抱強く、ぶっ飛ばし読みしていけば、最後には爽やかな感動の風に心がスッキリ洗われる。小説の最後はこうでなくては!と思う。この手の歴史系長編小説を最後まで読みきるには、それなりに時間と忍耐(?)が必要だが、これは見事に読者の努力に報いてくれる。絶対に最終巻まで読みきって欲しい。私は今でも、鬱々してきたら最終巻を取り出し読み返している。
余談が長く、多い ★★☆☆☆
個人的な好みになりますが、司馬氏の作品は好き嫌いが極端にわかれてしまいます。
残念ながら“菜の花の沖”は後者になりました。物語、主人公には魅力を感じるのですが、
作者特有の余談で始まる説明的文章が長く、しかも多大な量になるので物語のスピード感が無くなっています。
4巻あたりから読むのに面白みを感じることができませんでした。
レビュー(上) ★★★★★
司馬遼太郎の小説としては晩年にあたる作品。
この作品は文庫版にして1〜4巻、5巻、6巻の3部に分けてレビューしたい。

1〜4巻は、嘉兵衛の青春期から「高田屋」を軌道に乗せるまでを主に描く。
青春期は、嘉兵衛という人間が農村から弾き出されるまでを丹念に描き、その後半生に説得力を生み出している。

嘉兵衛が兵庫に出てからは面白さが増す。
時代経済小説という呼び方があるなら、それになるだろう。
その時代の船乗りの世界はどんな具合だったのか。
江戸中期の商品経済はどんなものであったか。
どこに何を売れば儲かった時代なのか。
その為にはどのような和船が嘉兵衛には必要だったのか。

それらをふまえて、嘉兵衛の身代はみるみる大きくなっていく。
快感である。
経済小説の醍醐味だ。

小説にしては少々ウンチクに偏った進め方ではあるものの、そのウンチクがまた面白い。
というより、江戸時代のあきんど・船乗りに関する一般的な認知度が低すぎて、
結果的にそうならざるを得なかったのだと思う。
江戸中〜後期を描いた小説として十分に価値がある。
ちょっと長すぎるけど、されど、司馬遼太郎 ★★★★☆
全巻読み通すのにずいぶん時間がかかった。最初の3巻までは主人公の若いころの冒険心溢れる生き様が描かれ、どんどん読み進むことができたが、その後は鎖国時代の蝦夷地開発、ロシアとの交渉という歴史を学ぶやや重いテーマに移り、読むスピードがずいぶん落ちた。ようやく全6巻を読み通してほっとしたというのが正直な気持ち。

しかし、さすが司馬遼太郎、いろんなことを学び、考えさせられる歴史小説だった。鎖国が江戸日本の進歩をどれほど遅らせたか、当時の武士というものが如何に生産性とは無縁の職種だったか、江戸時代において蝦夷地開発、国後、択捉島への足場作りがどのように進められていったのか、そして、ロシアがカムチャッカからの南進を進めていく中で、日本が「領土」概念を欠いていたかなど、大いに学ぶものがあった。