山本容子さんの絵本が刊行され、さらに池内 紀さんの文だと知り、どんなファウストに出会えるのか、大変楽しみでした。絵本ということで、子供騙しというか、子供向けに描かれると短絡的に思ってしまったのですが、奥深い作品に仕上がっていて、これもひとつの『ファウスト』誕生だと凝縮された言葉をかみしめ、場面の隅々まで象徴的に描かれる空間を余韻とともに楽しみました。
そして、やはり『ファウスト』1万2千余行を知ると、もっともっとこの絵本の素晴らしさを実感できると思いました。
■その1:ウェブ上で注文を出す前に現物を書店で確認することをお薦めします。
■その2:この『絵本 ファウスト』に万一物足りなさを感じた方は、故手塚治虫氏の『ファウスト』『百物語』『ネオ・ファウスト』の3つの作品(いずれも朝日文庫で入手可能。適切な解説が付されている)をご覧になることをお薦めします。彼の生涯を通しての『ファウスト』へのこだわりは本物だったようです。