“関西フォーク・シーン最後の大物”として登場した、今は亡き西岡恭蔵のベルウッド時代の2作品を収録したBOXセットで、傑作デビュー・アルバムとして今でも人気の高い『ディランにて』(72年)をディスク1に、細野晴臣が全面プロデュースを手がけ、はちみつぱいのメンバーらも演奏に参加したセカンド『街行き村行き』(74年)をディスク2に、という構成になっている。『街行き村行き』はしばらく入手困難だっただけに、うれしい再発だ。
永遠の名曲「プカプカ」に代表されるような、この人ならではの洒脱なセンスあふれるメロディは、フォークの枠を飛び越えアメリカン・ルーツ・ミュージックにも通じる世界。そのあたりをさらに細野晴臣が上手く引き出した『街行き村行き』もまた、『ディランにて』に負けず劣らずの好盤である。(木村ユタカ)