クラシックホテルの思い出
★★★★★
初めてのクラシックホテル体験は
箱根富士屋ホテルでのテーブルマナー教室でした。
フルコースのお食事をいただく前に
料理長によるレモンメレンゲパイの作り方の講習がありました。
メレンゲという、当時まだ目当たらしかったお菓子の装飾が
日常から非日常へと、私を誘ってくれました。
制服に身を包み、いつもよりすました風情でナイフとフォークを
手にしていた、10代の頃の思い出です。
この本のページをくるたびに
そんなクラシックホテルにまつわる小さな思い出が
よみがえってきます。
白黒なのが残念。
★★★★☆
乙女な感じのクラッシックなホテルが満載です。
関東圏がほぼすべてで、
箱根の富士屋ホテル、軽井沢の万平ホテル、
日光金谷ホテルなどが好きな方なら
きっと好きな本になると思います。
中には「古いホテルより、最新の
きれいなピカピカしてるところに泊まりたい!」という
方もいらっしゃるでしょう。
そういう方には不向きな本です。
装丁も中身も大変美しいですが、
ただひとつ残念なのが、
本の大半が白黒である、ということ。
できることならすべてをカラーで見たかった。
素敵なホテルばかりが出ているので
それが残念でなりません。
オールカラーだったら間違いなく星4つです。
女性による、女性が知りたい、女性のための案内書!!
★★★★★
そもそも、旅行に行く人口は圧倒的に女性の方が多いのに、
旅行エッセイは男性筆者が多く、読んでいて今までは、なぜかしっくりと来なかった。
それは、男性の視点と女性のそれでは、明らかに違うからで、
甲斐さんの、旅行エッセイは、私たち女性のツボを得た、
本当に知りたいと思っていた情報、心情を突いてくる。
読んでいて、言葉がストンと心に落ちてきて、非常に心地よい。
雑学の記述も、上から物を言うような表現はなく、
優しい言葉で、お友達と話しているような語り口で、素敵なんですよ。
一般庶民の私が、常々憧れ続け、
上流階級の雰囲気を味わえるけれど、
今まではランチやお茶をするのが精一杯だった、
箱根の富士屋ホテル、
日光の金谷ホテル、
熱海のヴィラ・デル・ソル、
軽井沢の万平ホテル。
その高い敷居を少しだけ下げてくれた感じ。
そして案内は都内のホテルにまで及び、
今は、小説の中にしか存在しない
本郷菊富士ホテルを紹介していて、作者の見識の深さに感銘です。
学士会館や九段会館、
今度、ぜひ泊まりに行きます!