2000年に発覚した前期旧石器時代捏造はどのようにして起きたのか、研究者の視点から学史も踏まえて解明しています。
20年余りに亘り、捏造が繰り返し行われたにもかかわらず、何故発覚しなかったのか、その捏造の構造は如何なるものだったのかを追求しています。
考古学を学ぶものにとって、この事件は避けて通れません。考古学学会がどうして腐敗して行ったのか、考古学に携わる者にとって対岸の火事では決してありません。
著者は真摯にこの問題に取り組み、今後の考古学の世界がどうあるべきか、研究のあり方はどうあるべきか射程に入れています。机上の空論、安易な解釈論に警鐘を鳴らし、モノ事態の分析が本来の考古学の研究姿勢であると、著者は強調しています。学ぶべき点が多くあります。
次世代を担う若い研究者には是非読んでもらいたいです。もちろんオーソリティーにもお薦めです。