本文をそのまま借りれば、「大人とは、物事を客観的に見て、状況を正しく判断でき、また、自分の感情をコントロールして、利己的でなく、他人と協調して全体の利益と調和を図ることができる人のことである」。今の我が国にそのような大人を発見するには困難な状況にある。このまま大人が減少すれば、国など成り立つはずがない。国力低下の要因を学力低下にだけ求めている感があるが、根本は国全体として大人を育てられない社会の仕組みそのものが大問題なのである。その基礎となる家族を復権させるにあたり、男は強烈に「父親らしさ」を意識しよう。そして立派な家族が子供を育て、子孫に自信を持って引き継いでいける、誇るべき国家を取り戻したいものだ。無論、「母親らしさ」と協調するのは言うまでもない。
本書はポケットサイズで読み終わるまでに1時間も要しないが、濃密に人間として生きる指針が込められている。常に身につけるのも良し、定期的に読み返すべきバイブル的な一冊だと思う。父親はもちろん、父親になるだろう青少年、さらには女性も含めた全ての人に読んでもらいたい。
一時間もあれば読み通せるほどの本ですが、この中に次の時代を託す子どもたちのために父親がどう接し、育てていくかのエッセンスが過不足なく詰まっています。