最近の科学の成果をひきあい出しながら(その多くは彼女自身の研究所で生まれたものだ)、シャイウィッツ博士は読書障害の謎を解き明かし、子どもがすぐれた読書能力を身につける方法を説明する。また、幼児の早期診断、年長児や若者、成人の読書障害の診断についても論じている。成人でもすぐれた知能をもちながらゆっくりとしか読めない人がいる理由と、対処法についてもふれている。脳の映像法の研究をはじめとする最新の研究によって、読書障害の根底に潜む仕組みが解き明かされ、それが年齢別に効果のある治療法に発展していくことが本書からよくわかる。
読書障害の子どもに親は何をしてやれるのか。シャイウィッツ博士は年齢ごと、学年ごとに段階的な方法を紹介している。家庭でできる読書能力向上のプログラムや、子どもに最適な学校の選び方、教師との協力体制の作り方、そして子どもの自尊心を高め、守る方法をアドバイスしてくれる。訓練法や学習補助ツール、コンピュータプログラムに関する情報、そのほか多くの価値ある情報も掲載されている。
さらに本書は、読書障害は主に男性の病気であるとか、読書障害の子どもは言葉を後ろから読むとか、読書障害が知能と関連しているといったよくある(そして有害な)「神話」の誤りを指摘する。読書障害を完全に克服することはできないかもしれない。だが、治療を慎重に計画し、努力すれば、読書障害がもたらす問題を乗り越えることができることを博士は明らかにしている。
シャイウィッツ博士は、読書障害をとりまく無知の壁を取り除き、知識に裏付けされた安心感を与えてくれる。本書は情報やアドバイス、ガイダンス、説明を提供してくれる信頼できる情報源であり、本書に示された最先端の研究成果とそれにもとづく実行しやすい行動計画は、読書にまつわる障害をもつすべての人とその家族にとって助けと、希望を与えてくれるだろう。