ありのままに生きるとは
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著者の現在の日本人を見ての所感が率直に、時には厳しい言葉で記されていますが
人間が生きて行くに当たって考えさせられる内容です。
アングロサクソン流の資本主義経済が崩壊しつつある今の時代に、人間の幸福な生き方は何か、勝ち組/負け組に2分されるようなものにはとらわれずに、個人として自分の分を知って、それに応じて生きていくことの大切さ、その中でも人間として生きていく上で努力してくべきことの重要さが伝わります。
内容は優しいとはいえませんが、人生ある年齢まで生きてきた人にはよく理解できる部分が多々あります。
努力をすれば誰でもイチローになれるわけでもなく、努力をしても報われないことも沢山ある。若い頃の夢や希望も生きていく中で挫折して失っていくものですが、そういうモノを捨て去っていくことに人間の成長、人生の本質があるという点はそのとおりかと思います。その中で一人一人が自分の分にあわせた幸せを見つけることなのでしょう。世の中の幸せの標準みたいなものに踊らせずに小さくても、ささやかでもその人としての幸福と感じられるものを見つけてそのためにささやかな努力を続けることということか。問題は、そうしたささやかな努力による幸福感すら得られないような壮絶な社会になって来つつあるところにあるのかもしれません。