ラピュタを知ったのは岩波版のガリバーだった
★★★★☆
いいかげんな子どもむけのガリバー旅行記では、小人の国とせいぜい巨人の国の話しかない。ガリバー旅行記のほんとうの価値は、その後の2編にある。そこでは、空とぶ島のラピュタや、不死人=ストラルドブラグを見たり、理想的な社会としてのフウイヌムの国、そして、沼正三の「家畜人」の語源ともなった野蛮人ヤプーなどが登場する。政治的な風刺もふんだんに盛り込まれた、大人ための小説であった。
中野好夫氏による翻訳は、子どもむけにこびることなく、スイフトの意図した内容を確実に伝えてくれている。中学生時代に夢中に読んだ思い出が懐かしい。