著者が師事しているペルグリーノ博士は、アドラーの息子であり、弟子でもあったクルト・アドラーの愛弟子。著者が伝える「勇気づけ」がアドラー本流のものであることが分かる。
後半は「勇気づけ」の理論的背景になっているアドラー心理学についてわかりやすく説明してあり、それも秀逸。読むだけで、自分への「勇気づけ」によって心暖かくなる逸品である。
人間関係で困難に出会ったとき、本質的な問題か些末な問題かを考えて、取るに足らないことに過剰反応すべきでないこと、また事実と意見を分離して冷静に考えることなどは、客観的な見方をする必要性を気付かせてくれる。そしてカウンセリング・マインドのキーワード、つまり尊敬、共感、勇気は友情!を彩る素材となる尊敬、信頼、共感、対等、協力などと一致していることが示されている。ということは、良い人間関係は、職場でなら仕事プラス友情、夫婦関係は愛情プラス友情と、“プラス友情”の発想をするということに気付かせてくれる。
アドラーの心理学によるカウンセリング・マインドの育て方によって、習得したことは、自分も他者も主体的に生きることを促すものとなる、一種の応援メッセージだと受けとめた。